糖尿病に関する話のまとめ

  • 糖尿内科

糖尿病に関するお話のまとめです。

 

少々長くなりましたので、簡単にまとめたいと思います。

【糖尿病とは】

糖尿病は、インスリンの分泌量の低下や、その働きが悪くなることにより、血糖値が上昇してしまう病気です。

尚、インスリンとは血糖を下げるホルモンで膵臓という臓器より分泌されています。

【糖尿病の症状】

血糖の高い状態が続くと、のどが渇く、小便の回数が増える、体重が減る、体がだるくなる。などの症状が出ることがあります。しかし、症状を認めない場合がほとんどです。

【糖尿病の種類】

インスリンが分泌されない1型糖尿病とインスリンは分泌されているが、そのインスリンの効きの悪い2型糖尿病があります。

他にも、妊娠期の糖尿病やお薬によって生じるものなどがあります。

(ここまでの詳細は、『糖尿病とは』を参照下さい。)

【検査】

・尿糖検査:一般的には血糖170mg/dl以上になると尿糖が出るといわれます。尿検査で陽性であれば、精査されることをお勧めします。

・血糖値

 空腹時血糖:境界型:110mg/dl~125mg/dl、糖尿病型:126mg/dl以上

・HbA1c:過去1~2か月の血糖値を反映します。正常値は4.6~6.2%です。

  糖尿病の診断基準値は6.5%以上です。

・75gOGTT

  血糖値が正常とも糖尿病とも言えない場合や糖尿病の疑いが否定できない場合に施行されることを推奨します。

【糖尿病の診断】

・早朝空腹時血糖値:126mg/dl以上、

・随時血糖値:200mg/dl以上、

・75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値:200mg/dl以上

・HbA1c:6.5%以上 

               の上記が糖尿病の診断基準値です。

厳密には、血糖値とHbA1cが同時に測定されており上記を満たすと、糖尿病と診断。

また、血糖値のみが診断基準を満たしている場合は、別の日に再検査し、血糖もしくはHbA1cのいずれかが基準を満たせば糖尿病と診断されます。

(ここまでの詳細は、『糖尿病の検査及び診断』を参照下さい。)

 

【糖尿病治療の目標】

糖尿病の治療目標は、血管合併症の発症、進展を抑止し、日常生活の質と健康寿命を確保することです。糖尿病でない人々と同じ質の生活で長生きすることだと思います。

(ここまでの詳細は、『糖尿病治療の目標』を参照下さい。)

 

【糖尿病合併症】

 糖尿病の合併症には急に症状の現れる急性のものと、ゆっくりと進行し気づけば症状の現れる慢性のものがあります。

・急性の合併症:低血糖症状など

・慢性の合併症:図を参照して下さい。

 

column04

 

column05

 

column06

 

・細小血管障害及び大血管障害の予防を目的とするコントロール目標を挙げておきます。

 

column07

 

(ここまでの詳細は、『糖尿病の合併症に関して』を参照下さい。)

【治療方法】 

糖尿病の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つの方法があり、各々の方に合った方法を組み合わせて治療していきます。

1:食事療法

原則として、以下の項目が挙げられます。

  • 食べる量を適正に。(食べ過ぎない。)
  • バランスよく食べる。(偏食をしない。)
  • 規則正しい食生活を送る。(食事回数や食事時間を守る。)

(ここまでの詳細は、『糖尿病の食事療法』を参照下さい。)

2:運動療法

運動療法は、糖尿病だけでなく、加齢や運動不足による筋萎縮や骨粗鬆症の予防、高血圧や脂質代謝の改善、心肺機能を良くするなど様々な効果が見込まれるものです。

しかし、中には運動を控えた方がよい方もおられますので主治医の先生との相談も大切です。

・有酸素運動(歩行、ジョギング、サイクリング)

・レジスタンス運動(水中歩行、ダンベル) など

歩行の場合などであれば、ややきついと感じる程度の速度で、20分~30分続ける。それを1日おきに行うことが推奨されています。

(ここまでの詳細は、『糖尿病の運動療法』を参照下さい。)

3:薬物療法

現在、血糖降下薬にはたくさんの種類があり、人によって適切と思われる薬は異なります。当院では、なるべく理論的にその人にあった薬をお勧めし、本人様と相談しながら治療していくことを心掛けています。薬の種類を簡単に挙げておきます。

 

図5 薬の種類

主な働き 薬剤の種類 主な薬名(商品名)
インスリン分泌を促す SU剤 アマリール、グリミクロンなど
  インスリン分泌促進薬 グルファスト、シュアポストなど
インスリンの効きをよくする ビグアナイド メトグルコなど
  チアゾリジン アクトス
インクレチンに関連する DPP4阻害剤 グラクティブ、ジャヌビア、トラゼンタ、ネシーナ、エクア、テネリアなど
  GPLP1受容体作動薬(注射) ビクトーザ、トルリシティーなど
ブドウ糖の吸収を遅らす αグルコシターゼ阻害剤 ベイスン、グルコバイ、セイブル
ブドウ糖の排泄を促す SGLT2阻害剤 カナグル、デベルザ、ジャディアンス、フォシーガ、スーガラなど
インスリン インスリン(注射)  

薬名は、商品名で記載しています。
また、主に当院で採用しているもの(一部採用してない薬あり)を記載しました。

 

(ここまでの詳細は、『糖尿病の薬物療法』を参照下さい。)

この項の最後に

糖尿病の原因や状態は人によって様々であり、現時点では完全に治すことができないと言われています。お薬を飲まなくてよくなったから治ったというわけではなく、付き合っていく疾患です。うまく付き合っていくことができれば決して怖い病気ではありません。しかし、付き合い方を間違えれば大変です。その為、正しい知識を得ることが大切です。

 今回のコラムが皆様のお役に立つことができれば嬉しいですし、今後もできる限り新しい知見をお伝えしていこうと思っています。

スマホメニュー