糖尿病の検査及び診断

  • 糖尿内科

 

先日、当院でも院内でHbA1c測定が可能となりました。

HPLC法という標準的な方法でHbA1cを測定する機器です。

前回に引き続き、糖尿病に関するお話しの2回目ですが、糖尿病に関する検査のお話を始めたいと思います。

【糖尿病の検査】

・尿糖検査

  いかなる時も、尿糖は陰性であるのが正常です。一般的には血糖値が170mg/dl以上になると尿糖が出るといわれていますが、個人差があります。当院でももちろん検査できます。

・血糖値

 空腹時血糖:

  早朝空腹時血糖は10時間以上絶食にした後に採血した数値のことをいいます。

  正常の人では早朝空腹時血糖値が110mg/dl未満ですが、糖尿病の人では126mg/dl以上と高い値です。

 随時血糖:

  食事の時間に関係なく採血して測定した数値のことをいいます。

  糖尿病の人では200mg/dl以上です。

  当院ではHbA1cと同時に院内で測定できます。

・HbA1c

  ヘモグロビンエーワンシーといいます。

  過去1~2か月の血糖値を反映します。正常値は4.6~6.2%です。

  糖尿病の診断基準値は6.5%以上です。

  当院では、院内で測定することができます。

・グリコアルブミン

  過去2週間の血糖値を反映します。正常値は11.0~16.0%です。HbA1cよりも短期間の血糖値の変化をとらえることができます。

・75gOGTT

  血糖値が正常とも糖尿病とも言えない場合、または、糖尿病の疑いが否定できない場合、すなわち空腹時血糖や食後血糖のみで診断のつかない時や将来糖尿病の発症リスクの高いと予想される場合(高血圧、脂質異常症、肥満などの動脈硬化のリスクをもつもの)に施行が推奨されます。他にも、インスリン初期分泌能の指標であるインスリン分泌指数(Insulinogenic Index)などの算出も可能です。(詳細は後述)

  空腹状態(前日より約10時間絶食)で75gブドウ糖入りのジュースを飲みます。服用前、服用後30~60分おきに採血して血糖を測定します。当院では、8時40~45分頃に来院頂き、服用前、服用後30分、60分、90分、120分、場合により180分後まで測定します。インスリンは服用前と30分後に測定し、上述のインスリン分泌指数を算出します。

判定方法は図を参照下さい。

 

column01

 

  *インスリン分泌指数:インスリン初期分泌能をみる指標となります。ブドウ糖負荷前後での血糖の上昇とインスリンの上昇具合を比較したものです。

 この数値により、理論的な内服薬の選択を勧めることもできます。

 

【糖尿病の診断】

では、糖尿病はどのようにして診断されるのでしょうか?

・早朝空腹時血糖値:126mg/dl以上、

・随時血糖値:200mg/dl以上、

・75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値:200mg/dl以上

・HbA1c:6.5%以上 

               の上記が糖尿病の診断基準値です。

厳密には、血糖値とHbA1cが同時に測定されており上記を満たすと、糖尿病と診断。また、血糖値のみが診断基準を満たしている場合は、別の日に再検査し、血糖もしくはHbA1cのいずれかが基準を満たせば糖尿病と診断されます。

 

【境界型】

 境界型糖尿病は、正常範囲でなく、糖尿病の診断基準を満たさない状態をいい、糖尿病の予備軍とも言われます。糖尿病は境界型の段階を経て発症することが判っており、糖尿病への進行過程と考えられています。正常型の人に比べて、境界型の人の方が糖尿病に移行する率は高く、動脈硬化性の合併症の頻度が増加することが知られています。その為、専門医による生活指導を受けることや定期的な検査を受けることが勧められます。

 

【正常高値に関して】

空腹時血糖値が100~109mg/dlの場合、OGTTで耐糖能異常を示す場合が多いことが知られています。その為、正常域の中でも正常高値として区別されています。OGTT検査を行い、正常型なのか、それとも境界型や糖尿病型なのか調べることが勧められます。

本日のお話はここまでです。

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